雪の降りしきる山奥の村で耳が聞こえなくなる者が出てくる。音を食らう蟲、吽(うん)のせいだ。吽は人の耳の中に入り込み、蝸牛に住みつく。そこで吽は音を喰らうため、音が聞こえなくなる。その治療法は簡単だ。塩水を耳に入れるだけだ。もう一つの蟲、阿 (あ)ははるかにやっかいだ。村長の孫息子、真火(まほ)は阿に憑りつかれる。角が生え、外界からの音が聞こえなくなり、今まで聞こえなかった音が内側か ら聞こえてくる。何万といる蟲が出すかすかな音が合わさって轟音となるのだ。真火の母も吽に憑りつかれ衰弱死した。彼女は死ぬ間際に手を伸ばし、 真火の両耳を塞いだ。それが何を意味するのか。ギンコはその理由を探る。