emailは数えられるのか?

Pocket

◆可算名詞と不可算名詞

英語の名詞には数えられるものと数えられないものがあります。dogは1匹、2匹と数えられる名詞、mud (泥)はひとつ、ふたつと数えられない名詞です。数えられる名詞の場合は単数の時はa (もしくはan)、複数の時は語尾に-s, -es等がつきます。数えられない名詞にaがついたり複数形になることはありません。名詞の多くは可算にも不可算にもなります。可算のdogも犬の肉を食べる人にとっては不可算になります(注: meatは同質のものをいくらでも細かく切ることができるので不可算になります)。 mudもコップに分けて販売すれば(買う人がいるかどうかは不明ですが)a mud, mudsと表現することは可能です(coffeeは不可算扱いですが、スタバでカップに入ったコーヒーを注文するときは、A coffee, please. となります)。

 

◆不可算名詞のmail

手紙(letter)や小包(package, parcel)などの「郵便物」という意味のmailは数えられない集合名詞です。似たような不可算名詞の集合名詞にはclothing, furniture, machineryなどがあります。mailを数えるときは不定冠詞a/anではなくa piece ofをつけます。mailsになることはありません。

When referring to snail mail, you would not say, ‘I received 120 mails,’ but rather, “I received 120 pieces of mail.”

可算名詞のletterやpackageを使ってもかまいません。もらった100の郵便物が手紙であれば、

I received a hundred letters.

と言えばよいです。

 

◆数えられないemail

emailはelectronic mailの略称です。日本語では「Eメール」、もしくは「電子メール」と訳されます。E-mail, e-mailとも表記されますが、今はハイフンを外してemailと書くことが多いです。emailは可算にも不可算にもなります。mailと同じように集合名詞扱いになる時は数えられません。英英辞典には以下の意味が載っています。

① [U] a system that allows people to send and receive messages and documents by computer

ここで[U]はuncountable (数えられない)の略称。「数えられる」場合は[C] (countableの略称)です。この数えられないemailは個々のEメールではなく「Eメール送受信システム」を意味します。Do you have email at home? だと   家のパソコンはemailを使えるか、という意味になります。He sent me his details via email. だと「Eメール(というシステム)で」、Email has revolutionized the way we all think and work.  だと「Eメール(というシステム)は我々の考え方と仕事のやり方を革命的に変化させた」という意味になります。

② [U] the messages that you receive by email

Eメールシステムを通して受け取るEメールを集合名詞扱いにすることがあります。この場合はEメールは数えられません。I need to check my email./ I check my email first thing every morning./ I received a lot of email on this subject today./ My inbox allows only 50MB of email at a time./ Some companies monitor all employee email. のemailはすべて数えられない名詞です。

しかし、メールボックスにあるemailは何通あるか簡単に数えられます。e-mailができた頃はemailはmailと同じく不可算名詞扱いにして、letterやpackageのように数えるときはe-mail messagesと言っていました。しかし今では、email messageという意味でemailを可算名詞として使うのが普通になっています。a lot of emailはa lot of emailsと言うようになったということです。

 

◆数えられるemail

③ [C] a message sent from one person to another using an e-mail system

システムとしてのEメール以外の意味ではemailは数えられる名詞扱いになります。不可算名詞として使っても間違いとまではされませんが、可算名詞とするのが当たり前になっているということです。「昨日、3つのEメールを受け取った」は I received three pieces of email yesterday. ではなく、I received three emails yesterday. となります。感覚的にはemailがイメージされるものがmailよりもletterになったという感じです。

I sent an email asking about their products.
Within seconds, I got an email confirming the booking.
It took most of the morning to read my emails.
Can you please forward this email to Yukiko?

ただし微妙なところですが、いまだに集合名詞的に使うこともあります。例えば、「毎朝、私が最初にするのはメールチェックです。」だと

The first thing I do every morning is check my emails. よりも、The first thing I do every morning is check my email. と言う人の方が多いです。

④ [C] an email address

「Eメールアドレス」(email address)のことを短縮してemailということがあります。

What’s your email?

 

◆数えられるようになったemail: その歴史的経緯

electronic mailという単語が最初に登場したのは1977年です。e-mailという言葉はelectronic mailの短縮形として1982年頃から使われるようになります。E-mailに相対立するsnail mail(通常の郵便のこと。e-mailに比べて伝達速度が遅いので「カタツムリの郵便」と揶揄されています)という単語は1983年に登場します。

Image result for e-mail snail mail

当初はe-mailはmailの語法をそのまま踏襲し、数えられない名詞として扱われ、Eメールを数えるときはe-mail messagesという表現が使われます(e-mail notesという用語も登場しますがすぐに廃れます)。しかし、1980年代後半頃からe-mail messageという意味でe-mailという単語を使い、可算名詞扱いする人が出てきます(New York Times MagazineのBen Zimmer, “The Plural of E-Mail”記事によると、初出は1987年です)。当初は間違った用法とされていましたが、an e-mail, e-mailsという表現は次第に浸透し、今では可算名詞として使ってもまったく問題がないとされるようになります。このような不可算名詞が次第に数えられるようになる現象を「可算化(countification)」と呼びます。不可算のcoffee (数えるときはa cup of coffeeと表現)がスタバ(Starbucks)なので「コーヒー1杯(One coffee, please)」、「コーヒー2杯(Two coffees, please)」という風に可算名詞扱いされるようになったのもcountificationです。

1月 23, 2018 · Pukuro · No Comments
Posted in: ■英単語豆知識

Leave a Reply