中原道喜著『基礎英文問題精講』の使い方

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中原道喜著 『基礎英文問題精講―3訂版』(旺文社、2004年)

1.構文編、2.文脈編、3.応用問題編に出ている80の例文を全部チェックしました。大学受験生が本書を利用する場合、以下の点に注意すべきだと思いました。

①構文編の例文(例題140)と文脈編の例文(例題4160)以外の英文問題を解かない。

40の重要例題、80の練習問題、応用問題編の例題61~80、演習編―典型例題30―の計170の英文問題は無視して下さい。本書を使って英語力をつけたい方は170の英文を全て無視して、構文編と文脈編の60の例文問題だけ解いてください。これらの問題も解説が少ないのですが、他の170の問題はさらに解説が少なく、独習用にはまったく役立ちません。

②問題を解く時は、英文を声を出して読む。

試験の時はもちろん黙読しなければいけませんが、英語を学習している時は、まわりに人がいない時はつねに英文を音読して学習する癖をつけておきましょう。基礎英文問題精講の例文はいずれも文章が長くないので、音読に適した英文と言えます。

③疑問点が生じた時に質問できる英語の先生が身近にいなければ、本書を使用しない。

解説が少ないにもかかわらず、省略、倒置、強調構文といったあまり標準的ではない英文がよく出てくるので、独習用には向いていません。気軽にわからないことを質問できる英語の先生が身近にいなければこの本を買って英語を勉強すべきではないでしょう。

④いちいち英文を和訳をしない。

本書はすべての英文に和訳がついています。英文和訳の勉強用にこの本を購入する受験生も多いかと思います。でも英文和訳と英作文は英語学習の中でももっとも独習に不向きな勉強分野です。英語と日本語は文法にしても単語にしても対になっていないから、単一の模範訳は生まれません。私が訳せば別の訳ができあがります。『基礎英文問題精講』での和訳は中原流の訳にすぎません。あなたが中原道場に入会し、中原流英語道を習得するつもりなのであれば、この本を使って英文和訳を勉強してもかまいませんが、そうでないのであれば、英語と日本語がちゃんとわかる人に和訳を添削してもらいながら、英文和訳の力をつけるようにしましょう。この本を使って独習しても英文和訳の力はつかないと思ってかまいません。

ここで1つ注意点があります。英語力があまりない人は和訳と英作文の勉強をするのをやめてください。英文和訳や英作文の学習をしなくても英語はできるようになります。ネイティブは英語を和訳しないで英語を使います。同様に日本語を英語に訳せなくても英語を使えるようになれます。日本人でも英語が得意な人は、いちいち日本語を訳しながら英語をしゃべったり、書いたりしません。彼らは英語で考え、英語を発しています。偏差値が60以下であれば、私だったら「思い切って、英文和訳と英作文の勉強を一切しないようにしてください」と言います。それくらい、英文和訳というのは英語力とは関係ない技能なわけです。

結論から言うと、『基礎英文問題精講』は独習用の問題集としてお勧めしません。ただし、内容的に面白い英文がそろっているので、英語のできる先生が教室でテキストとして使う分には悪くない教材だと思います。

中原氏の解説に問題があると感じたのは以下の例題です。本書を使っている英語を学習している高校生・受験生は参照しておいてください。

例題4: not but …

例題5: not so much A but B

例題8: that which

例題11: not alone A but also B

例題13: ofの用法

例題14: every (all) not 部分否定

例題17: if it were not for , if it had not been for

例題23: have got

例題27: due to; not so A but B

例題28: 受動態

例題32: A is to B what C is to D

例題33: 過去分詞構文

例題34: It seemed to me…

例題35: asは接続詞、それとも関係代名詞?

例題37: asは接続詞、それとも関係代名詞?

例題38: The same thing holds of

例題41: itの用法

例題48: セミコロンの使い方

例題49: 関係代名詞の先行詞

例題51: 相関語句

例題57: 譲歩のif

例題58: 仮定法のcould

2月 13, 2011 · Pukuro · 2 Comments
Posted in: ×基礎英文問題精講

2 Responses

  1. ふみえ - 10月 13, 2013

    中原先生は伊藤和夫よりはるかに英語が出来る人で一流の翻訳家でもありますが、残念ながら解説が少なすぎます。そこらへん懇切丁寧にやった伊藤に差をつけられたといえます。

  2. Pukuro - 10月 14, 2013

    一流の翻訳家だから英語ができるというわけではありません。英語ができても日本語のライティング能力が低ければうまい翻訳はできないし、英語が大してできない人もそれなりの翻訳をすることができます。実際、わたしのところに論文の英訳を依頼する大学の先生にも、英語専門書の翻訳をしている方が数多くいます。英文を和文に翻訳する作業で必要な能力は9割日本語、1割英語です。中原道喜氏の翻訳が素晴らしいのであれば、素晴らしい日本語能力がある方だったのと思います。英語力もあったかどうかは彼が書いた英文を見ない限りわかりません。

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