西田透「英語は冠詞だ」読書日記

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西田透著 『英語は冠詞だ』(開拓社, 2000年)を読んでみました。冠詞の議論とはまったく関係のない雑談が多く、口語調の文章はとにかく読みづらかったです。疑問点も満載でしたがこれは著者の説明がおかしいのか、私の理解力が低いのか、どちらが原因なのかよくわかりませんでした。とは言いながらも、学べる部分も多かったので、読書感想文を一応書いておきます。まずは第1章から。

UNIT 1 不定冠詞・無冠詞をつけて考える数え方(pp. 9-74)

まずは数えられる名詞についてです。可算名詞単数形につけられるaもしくはan「不定冠詞」と言います(e.g., an apple)。the「定冠詞」です(e.g., the appleもしくはthe apples)。可算名詞複数形には不定冠詞がつけられませんが、西田氏はそれを「無冠詞」と表現しています(e.g., apples)。

学べた部分

「不定冠詞(a, an)があらわす数は、次にくる名詞が複数あるという「複数性」に基づいた上での、そのうち、どれでも(どちらでも)よいから1つあるいは1人あるという単数である」(p. 16)

「次にくる名詞」という表現がわかりにくいですが、要するにan appleという場合、「リンゴが1つ」だけを意味するのではなく、「リンゴが2個以上ある」という状況を前提とした上で、その中の「リンゴ1つ」ということを意味している、と言っているわけです。

I have an apple.

という場合、リンゴの存在の複数性を前提とした上で、「私はリンゴをひとつ持っている」と言っています。世の中にリンゴが1つしかなければ、

I have the apple.

と言わないといけません。「太陽を見た」が<I saw a sun.>ではなく<I saw the sun.>となるのは同じ理由からです(天文学者は太陽系以外の星も頭に入っているので<I saw a sun./I saw suns.>と言うかもしれません)。


A: あなたの時計はどこ製ですか?  What make is your watch?
B: セイコーです  It’s a Seiko. (p. 33)

<It’s Seiko.>ではダメ。なぜならセイコー製品は数多くあって、その中の1つだからだそうです。ただし、<It is>を省略すれば、Bの返事を無冠詞にして、<Seiko.>とだけいっても、とくにおかしくは感じられないとは思います。

③「わたしたちは同じ年齢です」は<We are of an age.>、「類は友を呼ぶ」は<Birds of a feather flock together.>と表現できる。(pp. 39-40)

ここで不定冠詞のa, anはsameという意味になりますが、それは不定冠詞が「複数あるもののうちの1つ」という意味を表すからだそうです。例えば、15歳、16歳、17歳、18歳の人たちがいるところで16歳の人たちが<We are of an age.>という場合、4種類の歳の中での1つの歳という意味でan ageと言えるわけです。あまり使わない表現ではあると思いますが(<We are of the same age.>と言ったほうがわかりやすいです)、理屈としては納得できました。a featherもいろんな羽の中のある1つの種類の羽(例えば、赤い羽とか)ということです。

④果物屋で「リンゴをください」は<Give me some apples.>と言えるが、足を痛がっている蜘蛛のことを<The spider has some sore legs.>とは言わない。(pp. 46-52)

なぜかは本書を購入して読んでみてください。なるほど、と思いました。

⑤「父は画家です」は<My father paints pictures.>とは言うが、<My father paints many pictures.>とは言わない。(pp. 53-54)

なぜかは本書を購入して読んでみてください。なるほど、と思いました。

 

疑問点

①「名詞には、数えられる名詞と数えられない名詞がある。数えられる名詞のことを可算名詞とよび、数えられない名詞のことを不可算名詞とよんでいる」(p. 9, emphasis added)

高校の英文法の授業でこう習った人は多いと思いますが、多くの名詞は可算にも、不可算にもなります。それらの名詞は状況によって可算にも不可算にもなるので、ある名詞が可算名詞か不可算名詞のどちらかとは一概に言えません。たとえば、中学・高校の授業ではcoffeeは不可算名詞であると習いますが(だからcoffeeを数えるときは、a coffee, two coffeeではなく、a cup of coffeee, two cups of coffeeと表現すると教えられます)、スタバでコーヒーを注文するときは、<A cup of coffee, please.>ではなく、<One coffee, please.>と言います。可算名詞/不可算名詞という用語は、状況によってある名詞は可算的にも不可算的にも使われることを無視した、非常にわかりにくい用語ということを心に留めておいてください。

②「無冠詞があらわす数(量)は、次にくる名詞の単数からその名詞の複数すべて(あるいはその量すべて)の間の数(量)である」(pp. 18, 44)

どういう意味なのかは何度読んでもわかりません。どうも西田さんは日本語の表現がかなり不得手のようです。19ページの説明を読めば著者が言わんとしていることを理解できますので興味のある方は実際に本を購入して読んでみてください。

③「冠詞の省略」と「無冠詞(zero article)」の区別

「ここでいう無冠詞とは「冠詞が無い」という意味ではない。つまり、no articleという意味ではないのである。…zero articleという、れっきとした冠詞であるのが「無冠詞」なのである。「冠詞が無い」という概念と「無冠詞」という概念を混合してはならない。「冠詞が無い」というのは「冠詞の省略」というのが適切では無かろうかと考えている。」(p. 14)

この文章を読んで、「冠詞の省略」と「無冠詞」の違いがわかりますか? あるサイトではzero articleをこう説明しています。

An occasion in speech or writing where a noun or noun phrase is not preceded by an article (a, an, or the).

In general, the zero article is used with proper nouns, mass nouns where the reference is indefinite, and plural count nouns where the reference is indefinite. Also, the zero article is generally used with means of transport (“by plane”) and common expressions of time and place (“at midnight,” “in jail”).

別のサイトはこう書いています。

The Zero Article is when a noun is used without the, a or an

どうも西田氏が「冠詞の省略」と言っているものもno articleに含まれるようです。


「シャツを下さい」  I’m looking for a shirt.
「サイズは?」  What size do you wear?
「Sです」  A small.
(p. 34)

最後の文はSmallではダメだそうです。「Sサイズのシャツは複数あるはずだから」だそうです。<I wear a small.>でも、<I’m looking for one in a small.>でもよいそうです。

とのことですが、それ以前に「不定冠詞+形容詞」で終わる表現が私には不自然に聞こえます。私だったら<A small.>ではなく、<A small size.>と言います。

⑤「あの人は東京の大学に行っています」は<He goes to Tokyo university.>ではなく、<He goes to a Tokyo university.>と言わないといけない。(pp. 35-36)

「東京大学」の正式英語名はthe University of Tokyoです。Tokyo universityと言うと、確かに「東京大学」と勘違いされそうですが、「東京の大学」をa Tokyo universityというのもなあ。。。私であれば、a university in Tokyoと言います。

⑥ 「“Now I’m visiting a quiet part of London.”の不定冠詞からは「ロンドンには、静かなところが複数あることがわかる。」(p. 38)

静かなところが1カ所しかなくてもa quiet part of Londonといえます。Londonには2種類の場所があるとします。「静かなところ」と「騒々しいところ」です。その場合、英語ではそれぞれa quiet part of London, a noisy part of Londonという表現になります。

⑦「このように日本語では推測でしかわからない「数」が、英語では日本語よりもはるかによく理解できる。これは英語の利点であって、だからこそ、「英語は明解!」といってよいのだ。さらに、もう一つ。英語は、「明解だからこそ、世界中の人々が国際語としてつかっている」といってよいだろう。」(p. 38)

ウソです。イギリスとアメリカが覇権国だったから英語が国際語として使われています。

⑦2つの本があります。
This is a book.
This is a book.
「本同士(って変な日本語だけど)でない場合、
These are two books.
という「文」になるが、こういう「文」はあり得ない。This (book)とThis (book)が本同士の関係ではないということは考えられないからである。This (book)とThis (book)は、つねに本同士の関係だから、
These are books.
という文が成立する。 (pp. 63-64)

何を言っているのやら(-_-)。まったく意味がわかりません。

「These are books.という文は、もともとThese are a book and a book.がThese are book and bookとなって、この時点で不定冠詞が省略されていることになり、このbook and bookを1つにまとめてbooksとなり、These are books.という文が成立しているのである。」(p. 67)

そうなの?

8月 6, 2011 · Pukuro · No Comments
Posted in: ■英作文豆知識

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