『天空の城ラピュタ』で英文法を学ぶ

Pocket

「天空の城ラピュタ」の英語版はスラングも少なく、英文法・英語構文の例文に適したセリフが満載です。ここではいくつかその例を紹介します。

まずは命令文。命令文のあとにandがくれば「そうすれば…」、orがきたら「そうしないと…」という意味になります。ラピュタでは「命令文+ or」構文が出てきます。シータと別れてうなだれながら家に戻ると、そこにはドーラ一家が…。「出てけぇ!・・・・く、ぅぅ、ここはぼくのうちだぞ!」。英語版では「出てけぇ! くそー! 出てけ、さもないとぼくがお前らを追い出すからなあ。ここはぼくのうちだぞ!」となっています。

Get out! Aah! Get out, or I’ll throw you out! This is my house!

受動態の文を2つ紹介します。地下の坑道でシータがパズーにこう言います。「ごめんね。私のせいでパズーをひどい目にあわせて。」パズーの返答が有名ですよね。「ううん、君が空から降りてきたとき、ドキドキしたんだ。きっと、素敵なことが始まったんだって。 」

シータ I’m really sorry. It’s my fault getting you mixed up in all this.
パズー Are you kidding? This is the most exciting thing that’s ever happened to me. I wouldn’t miss an adventure like this for anything in the world!

「It is my fault getting you mixed up in all this.」という文章に注目。「~を…される」という意味は「get + 目的語 + 過去分詞」で表すことができます。「have + 目的語 + 過去分詞」でもオーケー。faultは「過失」、「落ち度」(a mistake, especially something for which you are to blame)という意味です。be mixed up inは「~巻き込まれている」。英文は「本当にごめんなさい。あなたをこんなことに巻き込ませたのは私の責任だわ。」という意味になっています。

もっと簡単な受動態の文も紹介しておきます。ムスカがパズーを諭すセリフ―「ラピュタの調査は、シータさんの協力で、軍が極秘に行うことになったんだ。」は英文では

It’s been decided that the search for Laputa will be made secretly by the army with Sheeta’s cooperation.

となっています。…has been decidedと…be madeがともに受動態ですね。能動態だと

We have decided that the army will make the search for Laputa secretly with Sheeta’s cooperation.

能動態にすると「おれたちは○○することに決めた。だからお前は必要ないから出て行け」というきつい表現になります。受動態にすることで、「こう決まってしまったから、君は必要なくなってしまったんだ。だから君は出て行くしかないよ」という能動態よりも柔らかい表現になります。

20130806000007

つぎはused toという表現。used toは「(今はそうではないが)以前は~だった」という過去の状態を表します。パズーがラピュタの庭を歩いていて「立派な街だったんだぁ。科学も、ずぅっと進んでいたのに、どうして・・・?」と述べる場面は英語では

I wonder what happened here. This used to be a city of advanced technology.

実は過去形にして
This was a city of advanced technology.
としてもとくに意味は変わりません。受験英語ではused toとwouldがよく対比されますが、wouldは動作を表す動詞とだけ結びつき、「~であった」という状態を表す動詞とは結びつかないので

This would be a city of advanced technology.
だと不自然です。

ボムじいさんも「used to」構文を使ってますね。「わしのおじいさんが言ってたよ。岩達が騒ぐのは、山の上にラピュタが来とるからだとな・・・。」

Great-grandpa used to tell me the rocks become restless when Laputa appears over the mine.

完了形の文章もついでにマスターしておきましょう。飛行船から落ちたシータを探しに来たドーラ一家。ドーラの息子のルイがパズーの家の前でパズーに尋ねます。「女の子が、この辺に来なかったかい?」。英訳はこうなっています。

Young man, query. Have you seen a little girl around here?

queryはquestionと同じ意味です。「若造、尋ねたいことがある。この辺りで小さな女の子を見かけなかったか?」。「have + 過去分詞」の現在完了には①完了・結果、②経験、③継続の意味があると英語のクラスで習いますが、実はネイティブはそういったことを意識せずに現在完了を使っています。過去のある時点から現在までつながりのあることを表現したいときに現在完了を使うだけで、それを細かく分析すると3つの種類にわけられるというだけのことです。ここではルイは「過去のある時点から今現在までの間」に小さな女の子を見ていないか、尋ねています。これを現在形で

Do you see a little girl around here?
と尋ねると、「今、女の子が見えるか」という不自然な表現になります(今、パズーに女の子が見えるのであれば、ルイにも見えるでしょう)。でも過去形で

Did you see a little girl around here?
だと間違いとまではいえなくなります。ただしこれだと現在までのつながりがなくなるので特定の女の子を捜しているというニュアンスが弱くなり、微妙におかしい感じにはなります。

ちなみにパズーの返答が英語版ではまったく変わっています。オリジナルでは「きのうー、来たかな?親方んとこの、チビのマッジが!」だったのが、英語セリフでは「ええとねえ。そうだね、この町には女の子が100人いるよ。どの女の子のこと?」となっています。

Uh, let me see now. Yeah, there are about 100 girls in this town. Which one?

「Have you seen a little girl around here?」の現在完了は「現在までの経験」を意味しますが、次の英文は「現在までの継続」を表しています。お墓の前にいるロボットを見てパズーはつぶやきます。「きっと、園庭のロボットなんだ。・・・人がいなくなってからも、ずぅっとここを守ってたんだね・・・。」

They must’ve been protectors of the garden. And they‘ve kept on guarding the place, even long after all the people have gone.

「must have + 過去分詞」は「~したにちがいない」という意味の過去のことに関する確信を意味すると習ったと思いますが、ここでは「(過去から現在まで)~し続けているにちがいない」という意味にとれないこともないです。have kept on…は「(過去から現在まで)~し続けている」という意味ですが、And they have guarded the place…としても同じ意味になります。現在完了は「継続」を意味するからです。keep on…ingという表現を使うことで、この完了形は「継続」を意味しているということを明確にしています。

過去完了の文もひとつ紹介しておきます。パズーの小屋の中で朝食を待っているシータが壁に飾られた写真を見ています。空に浮いている島を見て驚くシータにパズーはこう言います。「うん。伝説って言われてたけど・・ぼくの父さんは見たんだ。…その時撮った写真なんだよ。」英文ではこうなっています。青字の部分はオリジナルにはなかったセリフです。

Yep. Most people think it’s just a legend, but my dad actually saw it. That’s a picture of his airship. It looked like a castle just floating there in the sky. He said it was the most amazing thing he‘d ever seen. And that’s the only picture he was able to take.

legend=古くからの言い伝え; airship=飛行船; castle=城; float=浮いている; amazing=extremely surprising; ever=at any time

「He said it was the most amzing thing he had ever seen.」という文章で過去完了が使われていることに注目してください。過去完了は「had + 過去分詞」の形をとります。過去完了とは過去のある時点を起点として、それよりも前からその過去の特定の時点までのつながりを示します。ここでの過去のある時点とはパズーの父親がラピュタを見た時を指します。これは過去のことだから過去形(it was…)になっています。それは非常に驚くべきこと(an amazing thing)だったのですが、それよりも前にも驚くべきこと(amazing things)に何度も出会ったが、ラピュタを見たときの驚きに勝るものはないという意味で最上級の比較(the most amazing thing)となっています。それらは過去のある時点よりもさらに過去の出来事だから過去完了が使われているわけです。

laputa-robot-ghibli-museum

ラストは関係詞。関係代名詞はまあまあ、関係副詞はなんとか、複合関係副詞はもうなんじゃらほい、という方も多いかと思います。でもwheneverやhoweverの複合関係副詞はライティングだけでなく、普通の会話でもよく使われます。決して固い英語というわけではありません。廃坑道の地面にたどりつくと飛行石の光が消えます。「ああっ・・・消えてく・・・」というシータのセリフに続いて、「あぁぁ、待ってくれ! シータが、降りてきたときもそうだったよ。」とパズーが言いますが、英語版ではこうなっています。

シータ It’s going out!
パズー Ah, wait. Just a minute. I guess your necklace must come to life whenever you’re in trouble.

come to lifeはsuddenly to start workingという意味のイディオムです。ここでのwheneverは「~する時はいつも」という意味の副詞節を作ります。

譲歩の意味を表す複合関係副詞はno matter…で言い換えることができます。ラピュタでのシータとムスカの対決。シータはこう言います。「どんなに恐ろしい武器を持っても、・・・たくさんのかわいそうなロボットを操っても・・・土から離れては生きられないのよ!」。

No matter how many weapons you have, no matter how great your technology might be, the world cannot live without love.

英語版では意訳されて、「どんなにたくさんの武器を持っても、あなたのもつテクノロジーがどんなにすごくても、世界は愛なしには生きていけないわ。」となってますね。「no matter how」は「どれほわど~でも」という「譲歩」の意味を表し、howeverの構文で言い換えることができます。

= However you have many weapons, however great your technology might be, the world cannot live without love.

howeverの次に、形容詞か副詞がつく場合とつかない場合があることに注意してください。

『天空の城ラピュタ』でボキャブラリー力をつけることもできますが、英単語は多数ありすぎるのでブログにまとめきれません。興味のある方は『例文覚える英単語4800」講座(http://www.sanctio.jp/reibun)を受講してください。ところで、ラピュタには大学入試やTOEIC・TOEFLなどの英語検定にはでてきそうもないスラングはあまり出てきませんが、口の悪いドーラは時折スラングを使うので注意する必要があります。

blubberhead
chowderhead
dunderhead
numskull

これらの英単語の意味はわかりますか? すべてa stupid personという意味のスラングです。英語には「ばか、まぬけ、とんま」に類する英単語が数多くあります。こういう汚い単語が日常生活で使われることはほとんどないし、使うのは望ましくないので、いちいち覚える必要はありません。

20130806000030

8月 11, 2013 · Pukuro · No Comments
Posted in: ・ラピュタ

Leave a Reply