耳をすませば─①牛乳を買ってきたら

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今回から数回にわたり、ジブリの『耳をすませば』の英語版について解説します。『耳をすませば』は北米でWhisper of the HeartというタイトルでDVDが販売されています。

Whisper of the Heart

『耳をすませば』が外国人の日本語学習の教材として有用であることを示した論文に田中里実・本間淳子著「初級語彙・文型による「耳をすませば」スクリプトの分析 : 日本語学習資源としてのアニメーション映画の可能性」北海道大学留学生センター紀要(2009-12)があります。著者が数多くのアニメの中から『耳をすませば』を選んだ理由は、「1)ストーリーが1990年代の東京都多摩地区と現代的かつ現実的な場面で展開されていること、2 )主人公は中学生で、家庭・中学校・図書館などの場面で現代の日本事情がわかりやすく描かれていること、3)それらの場面では親子・姉妹、生徒と先生・友だち同士・保護者と先生などの多様な人間関係でさまざまなスピーチ・スタイルが使用されており、また登場人物の性別のバランスがとれていること、4)作品が英語・中国語・ドイツ語・韓国語・タイ語・ベトナム語などに翻訳され、国際的な評価を得ていること」だそうです。分析の結論は暫定的ではありますが、このアニメが日本語学習者にとっての学習資源となりうる可能性があると結論付けています。

では逆にWhisper of the Heartは英語学習の教材として有用でしょうか。ジブリのアニメの中ではとくにお勧めと言えます。『耳をすませば』はファンタジックなものを題材とせずに、高校受験を迎える中学生の日常生活を淡々と追っているのでセリフの多くが実際に使えるものばかりです。これが『風の谷ナウシカ』といった未来ものだと王蟲や巨神兵といった架空のモノばかり登場して、日常会話ではナウシカを話題にするときにしか出てこない単語まで覚えさせられる羽目になります。百聞は一見に如かず、ということで、Whisper of the Heartに出てくるセリフを見てみましょう。whisperは「ささやき」という意味。whisper of the heartで「心の中のささやき」という意味になるのでしょうか?

では今回は最初の場面から。

雫「ただいま。」
I’m back.

お母さん「ありがと。またビニール袋、牛乳1本なのに。」
Oh, hi, honey. You got a plastic bag for just one carton of milk?
「ビニール袋」はplastic bagと言います。cartonは容器の単位。a carton of milk, a carton of eggs, a carton of cigarettesでそれぞれ「牛乳パック』、「卵1パック」、「たばこ1カートン」。

雫「だってくれるんだもの。」
What? They just give it to you.
giveは<I gave him a book.>のように第4文型をとる動詞ですが、直接目的語がitの場合は第4文型にして<I gave him it.>とすることはできません。第3文型にして<I gave it to him.>と表現します。

お母さん「断ればいいじゃない。あたしにもちょうだい。」
You could say you don’t need it. Oh, pour me some of that too.
pour A Bで「AにB(飲み物)をついでやる」という意味。pourも第4文型をとることのできる動詞ですが、前述のgiveが第3文型のときは<give B to A>になるのに対して、pourは第3文型だと<pour B for A>になります。

雫「お父さんは?麦茶!」
Dad, I got ice tea. Do you want some?
直訳すると「お父さん、冷たいお茶を入れたんだけど、お父さんもいる?」。肯定の答えを期待しているときにはこのようにanyではなくてsomeを使います。

お父さん「ん、もらう。いまそっちへいく。」
Ah, sounds good. I’ll have it at the table.
Sounds good=いいね。have=drink

8月 3, 2014 · Pukuro · No Comments
Posted in: ・耳をすませば

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