耳をすませば─④西さんとバロンとの出会い

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公営図書館で働いている父にお弁当を届けに行く雫。電車の中で丸々とした猫に出会います。その猫を追っかけていくと、猫はあるお店に入っていき、つられて雫もお店に入ると…。

雫「性わるーう。犬をからかってまわっているんだ・・・。」
No way. He came all this way just to tease that dog?
<No way.>は<Absolutely not.>と同義で「ありえない、絶対だめだ、とんでもない」といった意味になります。all the wayは「わざわざ」とよく訳されますが、原義はthe entire distance from start to finishです。teaseは「~をからかう」。オリジナルではいろんな犬をからかっているというところが、英語版では場面に出てきた特定の犬をからかうためにわざわざここまで来たという意味になっています。

雫「うーん、わたしのことをからかっているのかも。」
Hmm. I wonder if that cat isn’t messing with me too.
<wonder if…>は「~かしら」とよく訳されます。mess with=treat A in a bad, rude, or annoying way。ここでは「Aにちょっかいを出す」といった感じ。

雫「こんなお店が丘の上にあるなんて知らなかった。」
An antique shop? He’s going shopping now?
英語版では「アンティークショップ? かれ(ネコのこと)はいま買い物に出かけているの?」という意味に変わっています。

雫「すてきな人形・・・。」
Incredible. I had no idea there were stores like this around here. What a fantastic statue.
incredibleはunbelievable(信じらない)とほぼ同義。have no ideaは「知らない」。過去形のhad no ideaは「知らなかった」。statueは「彫像、塑像」。英語版ではdoll(人形)と言っていないことに注意。

雫「あなたはさっきのネコ君?」
You’re not the cat I was following, are you?
follow=~の後についていく。付加疑問になっていますね。 the catの後にくるべき関係代名詞が省略されていますが、先行詞が人だと関係代名詞の目的格whomがくることもあれば、日常会話ではwhomの代わりにwhoが使われることがあります。猫は人ではないのでwhichが省略された形と見るのが妥当ですが、動物も擬人化されるとwhoやwhomが使われます。

西「やあ、いらっしゃい。」
Oh, hello there.

雫「あ、あの・・・。」
I’m sorry.

西「あ、いや、そのままそのまま・・・。自由に見てやってください。男爵も退屈してるから・・・。」
No, please, it’s good to have visitors. Look around as much as you like. The Baron is bored too.
visitor=訪問者。look around=見て回る。as much as you likeは「好きなだけ(いくらでも)」という意味です。<Eat as much as you like.>だと「好きなだけ食べてね。」

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雫「男爵ってこのお人形の名まえですか?」
The Baron? Is that the name of the statue over here?
baron=男爵。

西「そう。フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵・・・。すごい名でしょう?」
Yeah. Baron Humbert von Joekkingen. Good name, don’t you think?

西「やっ、すまん。ありがとう、もう大丈夫だ・・・。」
Oh, thanks. Don’t worry, though. I do this all the time.
thoughは「これは前の文に対する補足ね」というニュアンスで文の最後に言います。西さんが椅子の上に乗ったので雫が椅子を支えてくれたことについて、ありがとうと言った後に、でも心配しなくていいよ、と言っています。all the timeは「いつも、しょっちゅう」という意味。

雫「立派な時計ですね。」
Great clock.

西「あるお城で眠ってたんだよ。すっかりサビついていたんだ。ごらん。」
It was found in an abandoned castle all covered with rust. Look at this.
abandoned castleは「廃墟となった城」。all covered with rustはan abandoned castleを修飾して分詞の形容詞的機能を果たしています。<A covered with rust>で「さびで覆われたA」という意味になります。

雫「わーっ、きれい。これ、なんですか?」
Oh, beautiful. So, what does it do?
「これ、なんですか?」が「それは何をするためのものですか?」に変わっていますね。

西「ふふふ・・・、できあがってのお楽しみ・・・。」
It might not do anything. I just finished restoring this. I haven’t tried it out yet.
英語版では、ちょうど直したばかりでまだ試していないからうまくいかないかもしれない、といった意味になっています。restore=~を回復する。<I have not tried it out yet.>は現在完了の文であることに注意。try A out=~を試す

雫「よくできてる!ドワーフですね!」
Dwarves in a jewel mine, just like a fairy tale.
「小人」という意味のdwarfの複数形はdwarfsでもdwarvesのどちらでもよいです。jewel=宝石。mine=鉱山。fairy tale=おとぎ話。英語版ではかなり意訳されていますね。

西「よくご存知だ。そうか、お嬢さんはドワーフを知ってる人なんだね。文字盤を見てごらんなさい。うまくいくかな?」
You like fairy tales. This clock has a terribly romantic fairy tale that goes with it. Watch what happens on the clock face. At least I hope something happens.
terribleは通常、悪い意味で使われますが、その形容詞系のterriblyは価値中立的にveryやextremelyと同じ意味でよく使われます。日本語の「やべえよ」が「すごい」、「素晴らしい」という意味で使われるのと同じ感じですね。…goes with itは訳しづらいですが要するに、この時計はロマンチックなおとぎ話とセットになって機能しているというニュアンスになるんでしょうかねえ(´・_・`) 。「時計の文字盤」はclock faceと言います。

雫「エルフ!」
What is that?
エルフはウィキペディアによれば、「ゲルマン神話に起源を持つ、北ヨーロッパの民間伝承に登場する種族である。日本語では妖精あるいは小妖精と訳されることも多い」だそうです。英語版では「あれはなに?」というセリフになっていますね。

西「ガラスが光るね・・・、ここへ来なさい。」
Stand up here on the ladder, then you can see better.
英語版では「踏み台の上に立って。もっとよく見えるから。」という意味のセリフに変わっています。

雫「はい。王女さま?」
OK. Oh, it’s a fairy.
fairy=妖精

西「そうだね・・・。」
She is now, but soon she’ll turn back into a sheep.
turn into…で「~に変わる」という意味。backという副詞をつけ加えることで「羊に(変化して)戻る」という意味になります。

雫「2人は愛し合ってるの?」
The two of them are in love, aren’t they?
付加疑問になっていますね。

西「・・・ん。しかし住む世界が違うんだ。彼はドワーフの王だからね。12時の鐘を打つ間だけ彼女は羊から元の世界へ戻れるんだよ・・・。それでも彼は時を刻むごとにああして現れて、王女を待ち続けるんだ・・・。きっとこの時計を作った職人が届かぬ恋をしていたんだよ・・・。」
Mm-hmm. But they are always apart. He’s king of the dwarves and lives underground while she’s cursed to live as a sheep. Only when the clock strikes 12:00 she’s a fairy. So the king appears at that moment just to catch a glimpse of the girl he fell in love with. What do you bet that the artisan who made this clock was separated from the love of his life?
apart=separated by a distance(離れ離れで); live underground=地下に住んでいる; be cursed to=~するよう呪いをかけられている; clock strikes 12:00=時計が12時を告げる; at that moment=その時に、その瞬間に; catch a glimpse of=~を一目見る; artisan=職人; be separated from A=A~引き離される

What do you bet…?のbetはここではthinkと同義くらいにみればいいですかねえ。

雫「それで2人ともなんだか悲しそうなのね・・・。」
That must be why their sadness feels so real.
feel real=リアルに感じる

雫「ああっ!!この時計すすんでますよね!」
Aah! That clock isn’t on time, is it?
「この時計すすんでますよね」が「この時計時間通りじゃないですよね」に変わっていますね。ここでも付加疑問が使われています。

西「んー・・・、でも5分くらいかな。」
No. It’s about five minutes too slow.
日本語のセリフでは5分位進んでいる時計が、英語版では5分位遅れているに変わっています。

雫「大変!!」
Oh, no!

西「おおっ!?」
Whoa!

雫「わたし、図書館に行かなきゃ!さよなら!おじいさん、また来ていいですかぁ?」
I’ve got to get the library! I’m sorry, do you mind if I come again later?
have toは会話ではよくhave got toになります。mindは「~を嫌だと思う」。<Do you mind if…?>は「~したら嫌に思いますか?」、転じて「~してもかまいませんか?」という意味になります。

西「ああ。図書館なら左行った方がいいよ。」
Sure. But it’s better to go left to get to the library.
<Do you mind if…?>の返事は「してもよい」と返事する場合は「嫌にならないよ」ということなのでNoと言わないといけない、Yesと返事すると「嫌だよ」という意味になると英語の授業で習ったかと思います。そうすると西さんのSureという返事も「たしかに自分は嫌だと思う」ということになっておかしくなります。実は<Do you mind if…?>にYesと返事しても誤解はあまり起きません。なぜかというと、この構文は相手側から肯定的な返事が期待されているときに使われるので、相手がYesとNoのどちらの返答するかはあまり重要でなかったりするからです。たとえば、飛行機の中でフライトアテンダントが機内を暗くするときに、読書用の明かりを消したり、窓のカーテンを閉めたりしますが、Do you mind構文を使ってライトを消していいですかと聞かれると、機内でよく聞き取れないのでわりと多くの人がYesとかOKと返事しています。英語ができない乗客も多いですしね。でもYesと言おうがNoと言おうがSureと言おうがOKと言おうがフライトアテンダントはにこやかな顔でThank youと言いながらライトを消し、カーテンを閉めます。

8月 14, 2014 · Pukuro · No Comments
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