ジブリで学ぶ仮定法: 厳選12例文

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仮定法は日本語にはない表現法なのでいまいちよく理解できていない人が多いようです。まず覚えておくべきことは3つあります。

日本語の「もし~だったら」はそれが実現する可能性が90%であろうと、0%であろうと特に区別しませんが、英語では実現する可能性がある場合と実現しそうもない場合を意識的に区別し、後者の場合では仮定法を用います。英文法でいう仮定法とは、実現しそうもない場合の時にのみ使います(例えば「もし明日雨が降ったら」といったありそうなことはそのままIf it rains tomorrow…となり(直説法と言います)、仮定法は用いられません)。

英語では実現しそうなことと実現しそうもない事が区別されるというのが覚えるべき第1点。

第2の重要ポイントは仮定法を用いられる場合は、今に関することであれば仮定法過去が使われ過去形になり、過去に関することであれば仮定法過去完了(「had+過去分詞」)が使われることです。

3つめの大事な点は、仮定法過去では一般動詞は過去形が使われますが、be動詞の場合、人称に関係なくwereとなる点です。ただし、口語では3人称単数の場合wasでもかまいません。

この3点を押さえたら、英文法書の仮定法の章をだらだら何度も読むのはやめて、仮定法が使われた例文を1つずつ確実に習得していきましょう。

ではジブリのセリフを通して仮定法の表現をしっかり使えるようになりましょう^o^

まずは直説法の例文から。

『ハウルの動く城』でソフィーが初めてカルシファーに出会った場面です。ソフィーはカルシファーに呪いを解いてくれと頼みます。

ソフィー 「悪魔と取引をするわけね。あんたそれ約束できるの?」
カルシファー 「悪魔は約束はしないさ。」

If you’re a demon, how do I know I can trust you? You promise to help me if I help you?”
“I don’t know, lady. Demons don’t make promises.”

demon=悪魔; trust=~を信用する; promise to do=~することを約束する; make a promise=約束する。

「あんたが悪魔だったら、どうすればあんたのことを信用できるってわかるの?」という意味のセリフになっていますが、ここでソフィーはすでにカルシファーを悪魔だと思っているから仮定法が使われていません。カルシファーが悪魔か悪魔じゃないかわからなくてif節が使われているのではない点に注意してください。「あんたは悪魔だろう、悪魔のお前をどうやったら信用できるのさ」というニュアンスでif節が使われています。

次が『天空の城ラピュタ』の場面です。ムスカらから逃れて廃坑内を歩いているとパズーとシータはポムじいさんに出会います。

ポムじいさん 「はて・・・パズーによく似た子鬼だ。おまけに女の子の小鬼までおるわい・・。」
パズー 「ぼくたち、海賊に追われてるんだ。」

And if these old eyes don’t deceive me, there’s a she-goblin with you.”
“There are pirates chasing us, Uncle Pom.”

deceive =~をだます; she-goblin=女の子鬼; pirate = 海賊; chase=~を追いかける

英語版では「わしの見間違いでなかったら、パズーと一緒に女の子鬼がおるぞ。」という意味になっています。my eyes deceive me は「見間違える」、my ears deceive meは「聞き間違える」ということでが、見間違えたり、見間違えなかったりすることは日常生活で普通にあることなので仮定法が使われていません。

最後が『紅の豚』でカーチスがポルコに勝負を挑む場面です。

カーチス 「一対一だ! 勝負しろ!」
ポルコ 「今、それどころじゃねぇ!」
カーチス 「逃げるな! みんなに言いふらしちゃうぞ!」
ポルコ 「また会おうぜ、アメリカ野郎! ははははははは…。」

“Fight me, pig! One on one!”
“No, thanks, Tex. Kind of busy.”
If you run away, I’ll tell everyone you’re chicken!”
“Chicken, pig, what’s the difference?”

one on one=1対1の; Tex=テキサス野郎; kind of busy=少し忙しい; run away=逃げる、退散する; chicken=弱虫、臆病者; difference=違い

英語版ではかなりセリフの内容が変わっています。カーチスが自分と戦うことを嫌がるポルコに、みんなにお前がチキン野郎ってことをいいふらすぞ、と言うと、いつも豚野郎と言われているポルコが、チキンと豚野郎はどう違うんだと返答しています。ここでポルコが逃げる可能性はありうるので直説法になっています。

では本題の仮定法に入ります。仮定法の一番定番はIf I were you…という表現です。

If I were you,…

①直説法だとIf I am you…となりますが、私があなたになることは100%不可能なので「もし私があんただったら」という表現は英語では必ず仮定法が使われます。次の2つの例文で確認しましょう。まずは『ハウルの動く城』でのセリフから。

ソフィー 「窓開けて、マルクル。」
マルクル 「うん。」
荒地の魔女 「窓は開けない方が良いと思うよ……カルちゃんの力が弱くなってるからね。奴らが入ってくるよ。」

“Markl, will you crack a window, please?”
“Mm-hmm.”
I wouldn’t open that window, if I were you, dear.”

crack a window=窓をほんの少し開ける

ここで荒地の魔女はソフィーに対して、「私があんただったら窓を開けたりしないね。」と言っています。自分が誰か他の人になることは不可能なので、仮定法過去が使われていますが、なぜこの場面では荒地の魔女は「自分がソフィーだったら」という仮定をしたのでしょうか。これはソフィーの立場だったら、ということです。自分はハウルの城がどうなろうが知ったことではないが、ソフィーはそれは守ろうとしているだろう。だったら窓を開けるなんてバカなことはしない方が賢明だ、と考えての発言なわけです。

②では『天空の城ラピュタ』から次のセリフ。

シータ 「ひどい目にあってないかしら・・・。親方さんや、機関士さんたち・・・」
パズー 「大丈夫。鉱山の男は、そんなにヤワじゃないよ。さあ、行こう!出口を探さなきゃ。」

“I hope they’re all right – your boss and his wife and that nice train engineer.”
”My friends are all miners. They can take care of themselves. I wouldn’t worry about them if I were you.”

train engineer=機関士; miner=鉱山労働者; take care of oneself=自分の身は自分で守る; worry about=~を心配する

英語版でパズーはシータに「ぼくがシータだったら彼らのこと心配したりしないな。」と言っていますが、この場面では仮定法を用いずに、I do not worry about them. とか You do not have to worry about them. と言ってもほとんど意味が変わりません。でもパズーはシータの立場になってみて仮定法を使って、彼らのことは心配しなくていいよ、と言っているわけです。

③If I were…の後はもちろんyouに限られるわけではありません。次の『魔女の宅急便』のセリフを見てみましょう。

キキ 「私 キキです こっちは黒猫のジジ」
オソノ 「ちょっと汚いけど 好きにしていいから」

“And I’m Kiki, ma’am. And Jiji here is my very best friend.”
”It’s right up here, Kiki. It may need a little dusting, but I think you’ll like it. Oh, my. It’s a little bit dustier than I remember. If I weren’t about to have a baby, I’d help you clean.”

It’s right up here=この上よ; need=~を必要とする; dusting=拭き掃除; dusty=ほこりまみれの; be about to=まさに~しようとしている; help A (to) do=Aが~するのを手伝う

ここでも英語セリフはオリジナルのセリフとかなり変わっています。英語版でオソノは「出産間近じゃなかったら掃除するの手伝うんだけどねえ」と言っていますが、オソノはすでに妊娠中でお腹が大きいので、もし赤ちゃんを産まないんだったらという仮定は「現在の事実に反する仮定」となるわけです。

次に定番の仮定法の構文はI wish構文です。いくつか見てみましょう。

④キキがウインドウ越しに服を眺めて「もっとステキな服ならよかった」とつぶやきます。英語版ではセリフが長くなっています。

I wish I had something pretty to wear. My dress is so ugly. Oh, wow! This costs so much!

something pretty to wearは直訳すると「かわいい着るもの」。もっとかわいらしい服を着たいとキキは願っているのですが、彼女が持っているのは紺色のワンピースのみです。キキはかわいい服を着たいけど魔女は紺色の服を着ないといけないという決まりがあるので、その望みはかなわないということでI wish構文が使われています。

⑤次も『魔女の宅急便』から。トンボがキキをうらやましがっています。「僕も魔女の家に生まれればよかった。キキなんか ホーキでツィーだけどさ。」英語版ではセリフの内容が少し変わっています。

You’re so lucky, Kiki. I wish I could fly. People like you can just fly away on a broomstick.

fly away=飛んでいく; broomstick=ほうきの柄

トンボは空を飛びたいけどそれは実現不可能な願望なのでI wish構文が使われ、canではなくcouldになっています。

⑥『紅の豚』の銀行での場面です。

銀行員 「うらやましい。私もこのくらい稼いでみたいですな。」
ポルコ 「今月の払いだ。」
銀行員 「飛行艇のローンは終わりました。」

“I envy you, Mr. Rosso. I wish I could make money the way you do.”
“Here’s this month’s payment.”
“That’s the last you owe on the seaplane. ”

envy=~がうらやましい; make money=お金を稼ぐ; the way=~のように; payment=支払い; owe=~を支払う義務がある; seaplane=水上機

ここで銀行員はポルコみたいにお金を稼ぎたいと言っていますが、それが実現可能なことであれば仮定法構文のI wish…が使われずに I hope I can make money the way you do. という表現になります。

⑦『天空の城ラピュタ』の場面です。ロボットに連れられてラピュタを見回るパズー。

パズー「立派な街だったんだぁ。科学も、ずぅっと進んでいたのに、どうして・・・?
シータ 「・・・」
パズー 「お墓だね。彫ってある字が読めるといいんだけど。」

“Look at the size of that one. It must be a thousand years old.”
“The robot was leading us to this place, Pazu.”
“Wow. It must be a monument. I wish I could read what it says.”

a thousand years old=1,000歳; lead A to B=AをBに導く; monument=記念碑

英語版ではシータはセリフを言っていますね。ここでパズーは記念碑に彫ってある字を読みたいと言っていますが、読めるわけはないので仮定法のI wish構文が使われています。

⑧『風の谷のナウシカ』でアズベルはナウシカにこう言います。

「ラステルは ぼくの双子の妹なんだ。そばにいてやりたかった。」

I can’t believe she’s dead. Lastel was my twin sister. I wish I could have been there for her.

twin sister=双子の姉(or妹)

ラステルは飛行機が不時着して風の谷で亡くなります。アズベルは彼女のためにそこにいたかったと言っていますが、それはかなわぬ希望なので仮定法のI wish構文が使われています。

as if構文

3つめがas if構文です。I wish構文は仮定法でしか使われませんが、「あたかも~かのように」という意味のas if構文は直説法でも仮定法でも使われます。

ジルに「今度の旅はどうじゃった」と聞かれてユパはこう答えます。

「うーん ひどいものだ。南でまた2つの国が腐海にのまれてしまった。腐海は着実に広がっている。なのにどこへいっても戦に飢え、不吉な影ばかりだ。」

Mm, things are grim. I found two more kingdoms to the south that have been consumed by the jungle. It seems as if it spreads faster every day. And the kingdoms that still survive are starvation by war and starvation.

grim=harsh; kingdom=王国; consume=destroy A completely; spread=広がる; survive=生き残る; starvation=飢え、飢饉

ユパはジルに腐海が広がるペースが毎日早くなっているようだと言っていますが、このことはありえることとしての発言ですから直説法が用いられています。

では仮定法のas if構文です。

⑨『天空の城ラピュタ』でシータを捕まえたムスカ。

シータ 「パズーは?パズーに会わせて! 」
ムスカ 「はやりの服は嫌いですか?・・・彼なら安心したまえ。あの石頭は、 私のより頑丈だよ。・・・来たまえ。ぜひ、見てもらいたいものがあるんだ。」

“Where is Pazu? Is he all right? I want to see him!”
“Now, this is fit for a princess. Don’t worry, Sheeta. Your friend is being treated as if he were the guest of royalty. I want you to see something before you see him. Please step inside. Look there.”

be fit for=(服が)~にぴったりである; treat=~を待遇する; royalty=皇族、王族; step inside=中に踏み入る

ムスカはシータに「君の友人は王族の来賓のような待遇を受けている」と言っていますが、パズーが王族のゲストのわけはないので仮定法が使われ、as if he is…ではなくas if he were…となっています。

It is (about) time…

仮定法のIt is time…構文も見ておきましょう。「もうそろそろ~してもよいころだ」という意味ですが、実際にはまだやっていないので仮定法が使われます。It is time…だと「まさにその時だ」、It is about time…だと「そろそろもうその頃だ」というニュアンスの違いがありますがほぼ同義と見てかまいません。

⑩『風の谷のナウシカ』でジルは旅から戻ってきたユパにこう言います。

ジル 「どうだ ユパ。そろそろ この谷に腰をすえぬか。わしはこのザマだ みなも喜ぶが。」

“Lord Yupa, isn’t it about time you settled down here? With my present condition, it would bring peace of mind to us all.”

settle down=~に落ち着く、定住する; present condition=今の状況; peace of mind=心の平静; bring A to B=AにBをもたらす

settle downが過去形になっていることに注意してください。疑問文になっていますが、これは修辞疑問です。「もうここに腰を据える時期だろう」と言っているわけです。

What if…

「もし~だったらどうなるか?」という意味のwhat if構文はas if構文と同じように直説法でも仮定法でも使われます。

⑪『となりのトトロ』でお母さんが週末に病院から戻ってこないことを知ったメイは駄々をこねます。

メイ「ヤダーッ!」
サツキ「しかたないじゃない。ムリして病気が重くなったら困るでしょ。」

“No fair!”
“It can’t be helped, Mei. what if she came home early and it made her even worse?

It can’t be helped=それはどうしようもない; even=さらに (used for emphasis); worse=より悪く

ここでのshe/herは入院しているサツキとメイのお母さんのことです。What if she came… and it made her…とifのあとが過去形なのは仮定法が使われているからです。サツキは病気の母が家に戻ってくることはありえないと思っているから仮定法が使われているわけです。

では最後にIf it weren’t for構文を確認しましょう。「もし~がなかったら」という意味の仮定法表現です。

If it weren’t for….

⑫『ハウルの動く城』でソフィーがカカシにキスをすると魔法が解けてカカシは王子に戻ります。

荒地の魔女 「愛する者にキスされないと解けない呪いね。」
カブ王子 「その通り。ソフィーが助けてくれなければ、私は死んでいたでしょう。」

“I know that spell. A kiss from your true love breaks it.”
“That’s right. If it weren’t for Sophie, I would have been a scarecrow for the rest of my life.”

break a spell=呪文を解く; scarecrow=かかし; for the rest of one’s life=一生

ソフィーは実際にはいるのに、もしいなかったらというから仮定法過去が使われるわけです。

もっと仮定法の例文を見てみたいという方は『天空の城ラピュタ』で仮定法を学ぶも見てください^^

2月 17, 2015 · Pukuro · No Comments
Posted in: ■英作文豆知識

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