なぜ『「超」英語法』は正しいのか: 英単語の暗記法

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2004年に出版され、ベストセラーになった野口悠紀雄氏の『超英語法』をいまさらながら読み返しました。今も講談社文庫で購入できるようです。本書はいくつもの役立つアイデアを披露していますが、とくに興味深いのは英単語の丸暗記法と、「聞ければ話せる」という議論です。野口氏の言っていることは正しいと思います。

野口悠紀雄 超英語法

今回は英単語の丸暗記法について見てみます。

①英単語を孤立して覚えてはいけない。文章の中で覚えないと実際には使えない。

「英語を学ぼうとする日本人の多くは、単語帳を使っている。ひとつひとつの単語を抜き出して単語帳に書き、単語を孤立して覚えようとしている。しかし、単語は文章の中で位置づけられないと意味がないので、こうした方法で勉強しても、英語は上達しない。単語帳でいくら単語を覚えても、英語をコミュニケーションの道具として駆使することはできない。数年前にある受験英語参考書の著者とともに米国人と話す機会があったが、彼らの間にほとんどコミュニケーションが成立しないのを見て、愕然とした経験がある(その人の著書では、「重要単語集」といった類の、単語帳方式の勉強法が述べられていた)。

社会人になってからの実用英語の勉強でも、同じことをする人がいる。例えば、TOEICに頻出する単語というものを単語帳に書き出し、一所懸命に覚えようとする人たちだ。しかし、これはまったく無駄な努力だ。英語上達のためには、まず単語帳を捨てなければならない。」(p.46)

②英単語を孤立して覚えてはいけない。文章の中で覚えないと後で思い出すのが大変。

「ま た、「単語帳でばらばらに単語を覚えても使えない。丸暗記法でひとまとまりのものとして覚える必要がある」と述べた。続いた言葉をひとまとまりで覚えれば、それを理解する回路が形成されるのだろう。丸暗記法ではそうした回路が形成されるが、単語帳で勉強しても形成されないのだ。」(p.52)

「人間は非常に多くの ことを覚えているのだが、時間がたつと、容易には引き出せなくなる。記憶は「存在」しているのだが、「再生」しにくくなるのだ。しかし、ある個所を引き出 すと、糸で手操るように、関連している内容をずるずると引き出せる。つまり、記憶で重要なのは、「覚えること」ではなくて、「思い出すこと」なのだ。」 (p.226)

「高校生になってからは、意識して丸暗記法で勉強した。…そして、20回位繰り返せば、格別努力しなくとも暗記できる。」(p.230)

「教科書を全部覚えていると、試験はほぼ完全にできる。単語の意味は、それが含まれている文章を思い出せば、前後関係から分かる。単語帳を作って個々の単語を苦労して覚えようとしている友人たちは、何と無駄な努力をしているのだろうと思った。」(p.230)

「丸暗記法では、よく知っている言葉も含めて暗記するのだから(というよりは、知っている言葉がほとんどである文章を暗記するのだから)、一見したところ、効 率が悪い。しかし、「知っている言葉と関連付けて未知の言葉を覚える」という意味で、これが一番効率的な記憶法なのだ。」(p.232)

③英語は英語のまま理解しないといけない。翻訳は時間の無駄。

「単語に分解するだけならまだしも、英語を日本語に翻訳して理解しようとする人がいる。これでは、実際の場で英語を使えるはずがない。

講義を聞いている場合にも会話をしている場合にも、即座に理解し反応しなければならないから、「英文和訳」や「和文英訳」をやっていては、追いつけない。また、英語と日本語は異なる構造をもっているから、翻訳しようとしてもできない場合も多い。

実際の場で使うためには、英語という言葉の体系を総体として受け入れ、英語は英語のままで直接に理解する必要がある。日本語とのつながりを一切切断してしまうことが必要だ。」(pp.47-8)

「日本語に翻訳しようとする大きな原因は、日本の学校での英語教育にある。教科書の英語を読んでそれを日本語に直すという教育法が中心だったからだ。このため、無意識のうちに、「翻訳しなければ」ということになるのだろう。

「英語と日本語を一対一に対応させることはできない」という事実は、最初に外国語を習い始めた中学生には分からない。勉強を進めるにしたがって、多くの学生は日本語と英語は違うと気がつく。しかし、いつになっても気付かない中学生もいる。

「英語と日本語は違う」と教えるのは、中学校の英語の先生の大きな責任だ。そうであるのに、英語の教室では、教科書を読んで日本語に訳している。大学入試でも、英文和訳を課している。逐語訳を要求すれば、英語と日本語に一対一の対応を強制することになるから、本当に困ったことだ。」(p.48)

補足する必要がまったくないくらいに正論です。 ただし大学受験生にはかなり衝撃的な意見かもしれません。野口氏の主張に従えば、
①市販の受験用英単語集を使って英単語を覚えようとするな。
②英文和訳するのは時間の無駄なので、「英文解釈」の勉強をするな。
③和文英訳するのは時間の無駄なので、「英作文」の勉強もするな。
ということになるからです。

そんなわけねえだろう、と多くの人は思いそうですが、私は野口氏の意見に同意します。とくに②と③については、「そんなことを言っていたら、リーディングとライティングの力がつかないだろう」という反論も出そうですが、そんなことはありません。逆に英文をいちいち日本語で理解しようとするからリーディング力がつかないし、大学受験程度のライティングであれば、英作文の勉強なんてまったくしなくてかまいません。

4月 20, 2015 · Pukuro · No Comments
Posted in: ■英語学習法

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